2020.07.30 Thu

夏休みの宿題は効果的なものを。そして、健康的に自分らしく働き続ける工夫を。

大阪府の高校にてお勤めの若手先生(A先生/国語科)へのインタビュー。

宿題の時間対効果。

小田:今日は大阪府の高校で、1年生の担任をされているA先生にお話を伺ってまいります。この記事が公開される7月31日は、全国の学校では夏休みにちょうど入ったころか、まもなく夏休みという時期と思いますが、A先生の学校の夏休みはいつから始まるのでしょうか。

A先生:8月4日(火)が終業式なので、5日(水)からが夏休みになります。その後は、8月21日(金)に始業式を迎えます。例年の夏休みは、だいたい海の日辺りから8月28日、29日付近までなのですが、今年は例年の前半2週間、後半1週間が無くなりました。

小田:非常にタイトな夏休みと思いますが、生徒には宿題も出される予定なのでしょうか。

A先生:8月4日(火)に終業式を迎えるのですが、8月5日(水)から7日(金)までの3日間、希望する生徒に対しては進学講習も行うので、生徒にとっての本当の夏休みはそれを終えてからになります。そう思うと、今年は宿題をどうすべきかどうか、いまだに悩んでいます*。

*7月25日(土)時点

小田:この1学期は、生徒にとっても新しい対応が連続し、見えない疲れが溜まっているようにも思います。宿題を出すかどうか悩まれているというのは、そのような生徒たちのセルフケアの時間を確保する目的があるのでしょうか。

A先生:それもあります。もう1つは、今回の夏休み期間において課題を出したとしても、そこで何か力がつくのか、ということが気になっています。生徒が課題にかけた時間と、私(教員)がチェックする時間に対して、適切な効果が得られるのかどうか、という視点です。

小田:生徒にとっても教員にとっても負担になるだけの課題は確かに避けたいものです。「例年通り」の思考ではなく、今の状況に対して適切な課題設定を行うことの重要性を改めて考えさせられます。

A先生:今回の休校期間中での生徒自身の課題との向き合い方を振り返った時、ドリルのような課題よりは、作文課題が効果的だったと感じています。全生徒へのフィードバックには時間がかかったのですが、手をかけた時間分の効果を実感できています。

小田:A先生ご自身は夏休みがあるのでしょうか。

A先生:8月7日(金)までは進学講習があるのに加え、9日(日)から11日(火)の3日間は部活動の大会が予定されています。

小田:緊急対応が発生しない限りは、実質1週間の休暇?になるということですね。

健康的に働き続けるために。

小田:今回のコロナ対応について、全国の先生方が柔軟かつ迅速な取り組みをされている一方で、とても身体的、精神的なご苦労があるとも拝察しており、その点についてはセルフケアの重要性も言われています。教員として健康的に働き続けるために、A先生は何か意識をして取り組まれていることや工夫はあるのでしょうか。

A先生:3つあります。1つ目は「○○をしたら自分がちょっと元気になるという方法を知っておくこと」です。2つ目は「1日のto doを決めておくこと」です。

小田:2つ目はビジネスマンのような視点で新鮮です。

A先生:前日の帰宅前に、翌日すべきことをメモ用紙に書き、翌朝はそのメモを見ながら優先順位に従ってこなしていきます。もちろん現場では突発的な対応は必ず求められてくるので、余白を残したものにしています。帰宅が遅くならないように、おしゃべりもあえて控えめにしています。

小田:見通しを立てること、そして予定の変更があったとしても受け入れることのできる余白を予め想定しておくことは、心の不安の軽減につながると感じます。

A先生:3つ目は、「普段から職場内でのコミュニケーションをとっておくこと」です。きちんと御礼を言うこと、苦手なことは事前に伝えておくことでいざというときに協力し合える関係性を築いておくことは健康的に働くことを支えてくれていると思います。

小田:コロナで異例の対応を求められているところですが、自分に合った働き方やセルフケアの方法を今一度整理しておくことは、長期的に見て、とても有益ですね。

確かなコロナ対応のために情報が欲しい。

小田:今回のコロナは、確かな情報を効率的に得ていくことがとても重要と感じています。その意味で、まさに情報戦と言っても良いかもしれません。今、A先生が必要とされている情報は何でしょうか。

A先生:どこの学校もマスクを着用し、ある程度の感染リスクを下げるための取り組みを行っているにもかかわらず学校でのクラスターの発生が言われています。これからのコロナ対策の質を高めていくために、クラスターが発生した学校において、学校内のどのような状況で感染が広がっていったのか、という個別具体的な事例が知りたいです。ペアワークを積極的に採用したことで感染者の広がりが見られたのか、それとも一方向的な授業スタイルにも関わらず感染者の広がりが見られたのか、そのあたりのことが現状ではなかなか見えづらいと感じています。

小田:「クラスターが発生した」という情報がニュースに取り上げられる一方で、各事例が他の学校のコロナ対応の質向上にスピード感をもって寄与できていないという視点、鋭いです。

A先生:例えば、ある生徒1名が学校外でウィルスをもらった場合、それがどのように学校内で広がっていったのかということが知りたいです。つまりは、感染拡大を抑止するために教員が具体的に気を付けるべき有効な手段は何か、ということを把握したいと感じています。

小田:コロナ対応に過敏になる一方で、本当に有効な対応が取れているのかという不安はあると思います。クラスターが発生した学校での事例からより質の高いコロナ対応を検討できるよう、情報連携の重要性を強く感じます。

A先生:もう1つは、私の国語科としてのスキル向上の視点として、オンラインでの国語の授業を全国の先生方はどのように実施されているのか、ということが気になっています。例えば、数学や理科系の授業であれば、授業を録画して配信、その内容についてテストで理解度を測るというイメージがわくのですが…。

小田:オンライン授業については、現段階では、常に横目に見ておかなければいけない存在と認識しています。先進的な取り組みをしている全国の附属学校や各教育委員会の積極的な情報開示や研修の実施にも期待したいところです。

全国の先生方へのメッセージ

小田:最後に、全国の先生方にメッセージがあればお願いします。

A先生:「共に手を携えて、ぼちぼち頑張りましょう。」というメッセージでもよろしいでしょうか。

小田:A先生、大変お忙しい最中、インタビューにお力添えをいただきありがとうございました。

話し手

A先生 … 大阪府にて高校教諭(国語科)。1年生担任。

聞き手/ライター

小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。

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